あひるの空が面白い!名言が心に響いて泣けてくる件

    あひるの空の名言集

    身長149cm―――。

    これが何を意味するのか、バスケットボール経験者、もしくは少しでもバスケを知っている人ならわかるでしょう。

    頭上を通る敵のパス。
    リングまでの単純な距離。
    攻守ともにそのハンデは大きいものです。

    挫折も成功も生きるうえでの醍醐味ですが、それらをこのバスケを通じてまざまざと感じさせてくれるのがこの「あひるの空」なのです。

    この作品では、心を揺さぶる言葉たちが随所に現れます。
    それは『あひるの空』の面白さを際立たせるスパイスのようなものとなっています。

    ここではそんな珠玉の名言の数々を、シーンとともに追って行きたいと思います!

     

     

    目 次

    『あひるの空』の面白さの理由

    例えば、弱小バスケ部に主人公が入部し、仲間と力を合わせてI・Hを目指す―――。

    そんなストーリーならありがちでしょう。
    しかしあひるの空では、バスケ部があるにはあるものの、そこは不良の巣窟であり、まともな部活動などしていません。

    「一緒にバスケをしましょう!」

    空の言葉に、「そこから!?」と突っ込んでしまった読者もいるはず。

    ちなみに作者である日向先生は、『あひるの空』はバスケ漫画ではなくギャグ漫画と言い切っています。

    序盤こそギャグ要素は強いですが、いまとなっては立派なバスケ漫画。
    テンポの良さとコマ割りの巧みさ、背景や小物の丁寧な描写は、目の肥えた漫画好きをも惹きつけているんです。

    あひるの空の名言集 ベスト3

    彼らは「あひる」です。

    翼を持っていても空は飛べません。
    だから主人公である車谷空は、空を飛ぶための翼を手に入れようともがきます。
    バスケットボールにおいて、低い身長でもコートで飛ぶことができる羽、「シューター」という名の翼を得ようともがくのです。

    そのストーリー展開の中で、スパイス的な役割をもつ名言たちが読者の中では話題です。

    読んだ瞬間に頷いてしまうほどの説得力をもつ、そんな言葉たちをご紹介しましょう。

     

    「〝止まるか進むか〟ただそれだけなんだ…!!」

    (コミックス15巻 第113話)

    横浜大栄高校バスケ部で登場したこの言葉。
    強豪校であるが故の熾烈な競争のなかで、1年生の峯田圭介は辞めるか留まるかと悩みます。

    「どうせ続かねえ。今すぐやめちまえ」

    横浜大栄で練習すれば、嫌でも上手くなる。
    その考えを憧れの先輩白石にばっさりと否定された峯田はバスケ部を去ることに。

    仕返しにバッシュに悪戯しようと忍び込んだ部室で、峯田はわずかな間に履き潰されたバッシュの数々を目にします。

    「何やってたんだ…俺!!」

    僕はあの人たちとは違う。
    天才じゃない、凡人だ。
    そうやって、自分で自分の限界を決めてしまっていた峯田。

    「この〝壁〟を越えるのに、憧れや理想は毛ほどしか手を貸さない。
    誰もがその場所を通るのに、誰しもがそれを避けて通る。
    去った者と残った者に差なんてない。」

    この文章のあとに、あの名言が現れるのです。

    誰もが、乗り越えられないと思うほどの壁にぶつかったことがあるでしょう。

    このシーンは、いつかどこかで味わったことのある挫折感を思い出させます。

    かつ、それを乗り越えた者と乗り越えることができなかった者との間に差はなく、壁を前にして止まってしまったか、進んだか、の違いしかないのだと気付かせてくれます。

    諦めてしまった自分。
    継続することをやめてしまった自分。

    そんな自分に思い当たった人には、すこし耳の痛い話ですね。

    もちろん、私もほろ苦い記憶を思い出してしまった一人です。

    「俺は自分の為にココに戻ってきたんだ」

    (19巻 第145話)

    同好会として活動したくとも、顧問がいなければ練習すらままならない。
    そんなバスケ部に現れた五月先生が言った一言です。

    煙草の不始末から部室を燃やしてしまい、廃部になったバスケ部。

    当時顧問であり、最後に部室の見回りをしていた五月先生も、責任をとることになりました。

    もう一度五月先生に顧問をやって欲しいと何度も頼む百春でしたが、五月先生の奥さんにも反対され、部活動の顧問というものがどれだけ自分の家庭を犠牲にしているかを知ります。

    それでも、五月先生はもう一度顧問になってくれると言う。

    「アレだけ迷惑かけて、裏切って。
    試合も勝てねーし、同情みてーに同好会認めてもらって。
    俺らまだ、何も努力してねーよ。なのに…」

    何も結果を出せていない状況で、再び五月先生に顧問をやってもらうなんて―――。
    過ちに対し強い罪悪感を抱えている百春は葛藤します。

    しかし五月先生は、バスケ部の顧問をクビになったのは、自分の管理能力のいたらなさが招いた結果だと言い聞かせました。

    五月先生の言葉のあとで、百春は男泣きしてしまいます。

    私も胸が熱くなりました。

    赤ちゃんを産んだばかりの奥さんに、バスケ部を「ちゃんと見届けてやりたいんだ」と五月先生は説得したのでした。

    1巻で、「不良はこれだからと」決めつけ、バスケ部の顧問になったことを貧乏くじを引いたように思っていた五月先生に、あまり良い印象はありませんでした。

    しかし合宿のための費用を自腹で出したり(予算がなかったので)、差し入れをしたり、生徒の体調を気遣うなど、教師としての芯のようなものを感じさせてくれるキャラクターですよね。

    五月先生。
    実は『あひるの空』のなかで、筆者が一番好きな登場人物です。

     

     

    「もし負けるなら、ちゃんと実力で負けようと思ったんだ」

    (39巻 第252話)

    県大会決勝、丸高戦―――。

    九頭竜高校81点 新丸子高校82点。

    すでに時間を使い切り、メンバーは疲労困憊。
    クズ校に与えられたチャンスは、百春に与えられたF.T2本だけ。

    1本でも外せば負ける。
    その状況で、百春は2本ともシュートを決めます。

    勝利に喜び、沸き立つ九頭竜高校メンバー。
    しかし、百春の足は腫れ上がり、とても立ってはいられない様子です。

    駆け寄った五月先生は、なぜ言わなかったのかと怒ります。
    百春の足は見る間に腫れ、骨折している可能性があったのです。

    驚くべきは、メンバーの誰も、百春の足の怪我に気付いていなかったことです。

    責任感の強い百春は、キャプテンとして、そしてクズ校バスケ部のメンバーとして痛みを隠し通し、見事に試合をやりきったのでした。

    あまりの痛みに顔を掌で覆う百春は、気遣う五月先生に

    「他の理由はいらない。
    これで終わったってかまわない。
    丸高が相手だったから。」

    と告げます。

    これって、すごいことですよね。
    実力で負けるということは、どこにも言い訳が存在しないということです。
    力不足、ただそれだけが敗けた理由です。

    怪我で途中退場し、敗けたのであれば、それは実力で敗けたとは言い難いでしょう。
    僅差で敗けたのならなおさら、それはもっともらしい言い訳になったはずです。

    しかし百春は、それを嫌いました。

    逃げ道なんかいらない。
    敗けるなら、すべての力を出し切って敗けるのだと言わんばかりに。

    高校生活のすべてをバスケに懸ける―――。

    百春の本気と覚悟をまざまざと感じさせられた一言に、胸が震えた瞬間でした。

     

     

    あひるの空 面白さ まとめ

    あひるの空の面白さの一つは、この熱さ。
    そしてその魅力はもちろんこれだけではありません。

    ありきたりな言葉で言えば、ダイヤの原石が磨かれて行く軌跡に立ち会えます。

    そのダイヤは小さいかも知れない。
    クズと呼ばれるほどの価値しかないのかも知れない。
    でもその石は、確かに光り輝いていると感じるのです!

    あひるの空は読めば読むほど、新しい発見と、彼らの青春の貴重な一瞬を目にすることができます。

    バスケに興味がない人も、経験者でも、両方楽しめる。

    シリアスだけも終わらない。
    ギャグ漫画だと思いながら読んだっていいんです。

    笑いあり、涙ありの若葉薫るドラマの中に、あなただからこそ感じることのできる共感があると思います。

    『あひるの空』は、手に取ってみたらきっと、あなたの胸を震わせてくれる瞬間をもたらしてくれるでしょう。

     

     

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