葉村晶は鋭い洞察力によって、数々の事件の謎を解いていくクールな女探偵。
しかし彼女は、加減のない調査によってトラブルに巻き込まれる不運な探偵なのでした。
ドラマ版ハムラアキラ3話にあたる「わたしの調査に手加減はない」
は、秋に起こった事件を題材とした物語です。
「自殺した友人が毎日夢に出てくる」という、探偵とは無関係に見える相談を受けることから物語は始まります。
どんな物語なのか、ハムラアキラの原作からのネタバレです!
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ハムラアキラ原作ネタバレ「わたしの調査に手加減はない」(ドラマ2話)
晶は、中山慧美という女性と話しています。
慧美は晶の同居人・相場みのりの「母親の友人」で相談事があって晶を頼ってきたのです。
その内容は「小学校から大学まで一緒で10年前に死んだ友人・香織が毎晩夢に出てくる」というもの。
夫は高級官僚だったのですが愛人が出来て離婚し、香織は精神が不安定になり、その後に事故死。
香織が他界した前後に慧美は子供を2人生んでいました。
しかし互いが結婚してからは疎遠になっていたのでした。
墓参りに行くタイミングを逃しているうちに年月が過ぎてしまい、毎晩夢に出てくるのが気になるというわけです。
探偵の仕事とは思えず晶は断ろうとしますが、慧美は、
「夢に出てくる香織は自殺したらしいがそれは事実なのか」
を知りたいと望んでいて、殺人ならばこころあたりがあるというのです。
そこで気になった晶は、その調査を引き受けるのでした。
香織は殺されたのか、それとも自殺なのか
事故について図書館で調べたあと、晶は現場へ向かいます。
現場となったマンションの管理人である老婆に事故の件を聞くと、
- 事故は入居して3か月後のことだった
- 当時は投機目的での購入者が多く、マンションには4~5人しか住んでいなかった
ということが分かります。
次に晶は、香織が通っていたカウンセラー、東上を訪ねます。
医師免許も心理学の学位があるわけでもない彼からは大きな情報は得られませんでした。
そのあとに晶が会ったのが、香りの元夫である戸田です。
政略結婚した2人でしたが「夫の愛人に子供が出来て離婚」という噂は事実でした。
その中で、香織が精神的に不安定だったのは、子供が出来にくい体で不妊治療にも効果が出なかったことが原因でした。
さらに離婚を申し出たのは夫ではなく、香織だったのです。
夜になって晶は、西条華子という女性に会います。
香織が死ぬ直前に、慧美に香織に関する噂話をしたという女性です。
華子は「いまさら気にするなんて」と不思議がります。
香織が大変な状態にあることを知らせても冷たく、連絡したのに葬式にも来なかったというのです。
さらに華子は「慧美は香織について歩くだけだった」といいます。
香織が亡くなる直前まで一緒にいたのが、華子と、環という友人でした。
そして、この環こそが、慧美が「犯人かもしれない」と考えている人物だったのです。
翌日の午後に晶が帰宅すると、慧美が待っていました。
環に会ったのかを聞かれた晶は「イギリスにいるので会えなかった」と答えます。
そして、それらの調査には何の意味もなかったと告げるのです。
晶は警察に行って、香織の転落死事件についてのファイルを閲覧していました。
それにより、事件には目撃者がいて間違いなく自殺であることが分かったのです。
立ち直りかけていた香織が突然自殺したのは、やはり環のせいではないかと慧美はいいます。
「調査に手加減しないのではなかったのか」と慧美は晶に不満を述べます。
そんな慧美に対して、晶は、ある答えを用意していました。
香織を死に追いこんだものとは
自殺した香織は、あるものを握りしめていました。
それは香織と親しくしていたはずの人物から届いた1枚の年賀状です。
当時、香織の住所を知っていたのは、ごく少数の人物のみ。
慧美も、その中のひとりでした。
精神状態の不安定な香織を心配していた華子が、慧美に連絡をしていたのです。
そのとき華子は、香織について、
「不安定な原因は子供が出来ないこと」
「いま子供についての話は毒であること」
を告げていました。
香織が握りしめていた年賀状のコピーを見て、慧美が立ち去ります。
それは慧美が香織に出した、子供の写真入りの年賀状でした。
エリートとの結婚を妬んだ慧美が悪意を持って出した年賀状が、香織の死を招いたのです。
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ハムラアキラ原作「わたしの調査に手加減はない(ドラマ3話)」の感想
子供の写真入り年賀状を出したとき、おそらく慧美は勝ち誇った気持ちだったのでしょう。
それにしても「子供の話は毒だから」といわれている相手に対して、写真入り年賀状を出すなんて。
学生時代仲が良かったはずの2人が、こんな結末になるとは、人間の悪意や妬みとは本当におそろしいものです。
慧美は、香織が死んだ理由ではなく、「死んだ理由が自分ではない」と知りたかったのでしょう。
晶に調査を依頼しなければ、おそらく慧美は一生真相を知ることはなかったに違いありません。
知ったあと、どのように慧美は生きていくのでしょうか。
きっと一生、罪の意識を抱えることになりそうな気がします。
その気持ちを考えると、寒気がするような物語です。