前作で、後宮を解雇され、再び宮中に戻ることになった薬屋の娘・猫猫(マオマオ)ですが、今作からは宮中の事件や問題などで休む間もありません。
冬虫夏草のことを考えていて、笑顔で壬氏を迎えてしまった猫猫。
初めて見る猫猫の笑顔に、悶える壬氏が可愛く見えます。
最後に描かれた、軍部の高官の謎の人物、猫猫とも何か関係がありそうですね!
『薬屋のひとりごと』~猫猫の後宮謎解き手帳~の4巻は、物語は原作小説の2巻に突入し、新しい人物も色々と登場していきます。
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薬屋のひとりごと4巻のネタバレ
再び宮中に戻ることになった薬屋の娘・猫猫、後宮の女官ではなく、外廷の官女として勤めるということだったが、官女の試験に落ちてしまいます。
そのため、壬氏の直属の下女として、勤めることになったのでした。
第14話 外廷勤務
壬氏と皇帝の密会から、お話が始まります。
壬氏は今の生活に何かを賭けていて、それに勝たなくては、道を選べないようで、そのためには、なんだってやってやる、と心に決めているようです。
ところ変わって、猫猫は緑青館と養父・羅門の家で、外廷に向かう前日の夜を過ごしていました。
緑青館では、梅梅に化粧を薦められ、「化粧より調合道具をもっと持って行きたい」と猫猫が言います。
すると梅梅に、「貰った仕事に見合うように努力しろ、感謝しながら生きていかばいとバチが当たる」と説教されました。
梅梅は本来なら、妓女を引退する歳なのに、三美姫として人気が衰えないのは、その知性のおかげで、芸を売る妓女だからこそ厳しいと猫猫は思っています。
羅門の家では、「医官でもないのに調合道具を持ち込んだら、毒殺でも企んでいると疑われるよ」と猫猫の道具を前にして言い、少しずつ許可をもらって、持ち込めばいい、と羅門は微笑みました。
明日は試験だから、早く寝よう、と寝台に入る羅門の隣に猫猫はもぞりと入りました。
もう子供じゃないと言っていたのに、随分久しぶりだ、と嬉しそうに羅門が言うと、猫猫は背中を向けたまま、少し寒いだけ、と言いました。
寂しくなる、と呟く羅門に、
「今度はいつでも帰ってこれるから」と猫猫は言ったのです。
こうして、宮中に戻った猫猫ですが、官女の試験に落ちました。
壬氏から勉強できるように、本も渡されていたのですが、毒や薬の類なら覚えられても、興味のないものはさっぱりな猫猫。
壬氏のところでは、官女どころか下女も長続きしないとのことで、猫猫が壬氏の直属の下女になったのでした。
ある日、猫猫が廊下の掃除をしていうと、5人の官女がやってきました。
「なんであなたみたいなのが、雇われているの?」
そう聞かれても、猫猫に言っても仕方がないと思うのですが、猫猫は自分に嫉妬しているのかと聞き返します。
官女の一人に「馬鹿にしているのか!」と頬を叩かれますが、言葉を間違えたか、と冷静に分析して、うまく切り抜けないと、と考えました。
壬氏が自分を相手にするとでも思っているのか、食べ物で例えるなら、目の前に鮑や猪肉があるのに、わざわざ鶏ガラを選ぶのか、それは特殊趣味なことですね、と猫猫が言えば、失礼な事を言うなと言われます。
「じゃあ、なぜあなたが選ばれたの?」
そう聞いたのは、騒がしい官女の中で、一人だけ冷静な態度を崩さなかった官女でした。
猫猫は左腕に巻いていた包帯を解きながら、理由はこれだと、傷を見せました。
官女達が声を上げるほどの傷があるのだが、最近自分で傷つけ、火傷薬の実験をした跡だったのです。
包帯を巻き直しながら、自分が仕打ちを受けていることから、救ってくれたばかりか、雇ってくれた壬氏の事を、特殊趣味と言うなんて、と泣きまねをします。
近くで壬氏が聞いていることに気づかず、『特殊趣味(マニアック)』を連発する猫猫。
もういいわ、と官女達は去って行くのですが、先程の冷静な官女だけは、意味あり気に猫猫を見ていたのでした。
柱の陰に落ち込んだ壬氏がいるのを、猫猫は見つけました。
何をしているのかと聞いても壬氏は、なんでもない、と答えて、「いつもああいうのに絡まれているのか、と猫猫に聞き返します。
「ここでは初めてですが、後宮より手数は少ないから、そのうち止むでしょう」
猫猫はそう答えて、その体勢はどうかと思う、と続けて言い、柱に手をついている壬氏と、その傍でオロオロする高順を置いて歩き出しました。
特殊趣味…と呟く壬氏と、別に悪いことを言ってはいないだろう、と考える猫猫でした。
また別の日の朝、壬氏に外廷は慣れたか、と聞かれ、だいぶ場所も把握できた、と猫猫は答えます。
そして外廷の東側は軍部があるので、用事がない限りはあまり近づくな、と高順に言われるのでした。
その間に、先日絡まれたのも分かる、と壬氏を観察する猫猫。
なぜかそこで、発情期の虫みたいだと考えてしまい、そこから匂いを集めて惚れ薬に使えるかもしれない、と思いついて、自分の世界に入ってしまい、壬氏の言葉を聞いていません。
自分の世界に入っていたのに気付き、なんの話でしたか、と聞き直すと、新しい部屋の話だ、と壬氏に答えられ、匂いも気にせずに、煮炊きができるので、厩がいいと言えば、直ぐに却下されるのでした。
その夜、仕事をしている壬氏のもとへ、急使がやってきました。
時間外なので、明日にしてほしい、と高順が言いますが、仕事ではなく礼部(※1)
の浩然が倒れた、と告げます。
壬氏は持っていた筆を落とし、驚くのでした。
※1六部の一。礼楽・儀式・祀祭・科挙試験などを司った官庁(大辞林・第三版より)
第15話 酒毒
浩然という高官が急逝したと、噂話が交わされる中、猫猫は廊下を歩いていると、壬氏が呼んでいる、と高順が呼び止めました。
壬氏の要件は、浩然の死因についてでした。
猫猫は、酒を一気に飲んだと噂で聞きました、それなら倒れてもおかしくはない、と答えます。
壬氏が猫猫の答えを聞いて、いつもの半分くらいの量だった、と言います。
「酒による死因はいくつか考えられますが、酒も薬と同じで飲み過ぎれば毒になりますので、慢性的に飲み過ぎていれば、臓腑を病むし、一度に大量に飲めば、死に至ることもありますから、半分くらいとはいえ一気飲みしたとなれば、亡くなってもおかしくなはいと思います」と猫猫は壬氏に話します。
それでも、「浩然は酒豪でどれだけ飲んでも平然としていて、酒が原因とは思えない、必要なものは揃えるから、浩然殿の死について調べてほしい」と壬氏は必死になって猫猫に頼むのでした。
まずは、浩然が飲んでいたお酒は、倒れた時に瓶が割れて流れてしまったので、同じお酒を用意してもらったのですが、「その瓶に毒が入っていたら分かりませんね」と言うと、その通りだ、としゅん…としおらしく答える壬氏に猫猫の調子は狂わされます。
昔は辛党だったのに、今は食事の味付けまで甘くするほどの、大の甘党になった浩然、お酒ももちろん甘口でした。
猫猫は、浩然は味覚の他に近しい人との離別があるとかの、変化はなかったか、とお酒を飲みながら聞けば、「浩然が遠征中に、流行り病で妻子を亡くした」と壬氏は答えます。
考えついた説明をするために、浩然が飲んでいた酒の瓶が手に入るか、と壬氏に聞く猫猫。
破片しかないかもしれない、と壬氏が答えれば、「それだけでも揃えば、謎が解けるかもしれない」と猫猫は答えるのでした。
翌日、瓶の破片を手にした壬氏が、猫猫のところへやってきました。
瓶の破片には白い粉が付着しています。
これが毒か、と聞かれますが、猫猫は一舐めして壬氏を驚かせます。
舐めて大丈夫なのか、と焦る壬氏に、「無害なものだし、みんな普段口にしている」と説明して、火のついた蝋燭を白い粉につけました。
火は色が変わり、塩だと壬氏と高順は気が付きます。
「塩は人の体に必要だが、酒と同じで一度に大量摂取すれば毒になる、乾いて粒が残るほど酒に混ぜられていたのなら、死に至ってもおかしくはない」と猫猫は説明します。
「でも、そんなに塩が入っていたのなら、気がつくはずだ」と壬氏は言いますが、「味覚に異常をきたす病気があり、食べ物の偏りと心的負荷が原因とされています」と猫猫が答えます。
では、誰が酒に塩を入れたのか、と壬氏は聞きますが、それを調べるのは、自分の仕事ではない、と逃げなのは分かっているが、これが精一杯だと思いながら、猫猫は言いました。
第16話 煙管
雪が降り、綿入れを高順から渡された猫猫。
壬氏の身の回りの世話を担っている水連から、反古(※2)を捨てに行ってほしい、と言われます。
焼き場のある軍部の東棟から猫猫が帰る時に、李白に出くわせました。
李白は、小火騒ぎのあった倉庫へ行く途中でした。
原因不明の小火だと、李白は首かしげていたので、猫猫は好奇心いっぱいにその倉庫へ近づきます。
小火があった倉庫を見た猫猫は、何かが爆発したような跡だ、と呟くと、倉庫番の証言と同じだ、と李白は驚き、倉庫番は多少の火傷は負ったが、死者は出ていない、と言葉をつなげました。
猫猫は倉庫を見回して、象牙の煙管を見つけたのです。
「何が爆ぜたのか、分かりました。」
そう言い、猫猫は李白の部下に、箱と小麦粉と水を用意するように言いました。
用意された木箱に小麦粉をいれる猫猫に、これは火薬じゃなくて小麦粉だから、爆発なんてしない、と李白は言います。
木箱に穴をあけた板で蓋をした猫猫は、危ないから、離れた方がいい、と言いますが李白は、自分は武官だから危険なことなどない、ということを聞きません。
自分と部下の方は離れているから、李白様も早く逃げてください、と言いながら火のついた藁を穴の中へ入れました。
火が入れられるとほぼ同時に、木箱は爆発したのです!
李白に火が本格的に燃え移る前に、水をかける猫猫と李白の部下。
消火を終えた猫猫は、小麦粉などが充満した中に火を入れると、それだけで爆発します、と粉塵爆発の説明を李白にする猫猫なのでした。
その夜、煙管の雁首をしげしげと見つめる猫猫は、倉庫番が持つには立派な雁首で、誰かから貰った大事なものかもしれない、と考えていました。
一方、壬氏の部屋では、一通の推薦状がきていたのです。
※2書画などをかきそこなって、いらなくなった紙。不要なもの。役立たないもの。(大辞林・第三版より)
第17話 後宮教室
猫猫をじっと見つめる壬氏、何かをしたかと気になる猫猫ですが、壬氏は唐突に言葉を発しました。
先日空いた淑妃の座に新しい妃が就いた、後宮としては妃教育をしたい、そこで…講師をしろと推薦状がきている、と猫猫に言います。
猫猫は目をそらし、知らないフリをしますが、推薦人は梨花と玉葉だとわかると、渋々頷いたのでした。
数日後の授業の日、猫猫は、やるからには徹底的に、女の園の秘術を教える!と意気込みます。
教室から壬氏を追い出して、猫猫は上級妃の4人の前に立ちました。
「女の園の秘術ですから、他言無用にお願いします。」
そう前置きをして、約一刻授業をしたのです。
壬氏は、猫猫がどんな授業をしているのか気になり、盗み聞きをしようとしますがそれができず、授業後の妃達を見て、「どんな授業をしたんだ?」と猫猫に聞きます。
「それは、後日、主上から感想をきいて下さい」と白湯で喉を潤しながら、猫猫は答えました。
授業から数日後、猫猫は高順に呼び止められます。
十年前の資料を猫猫に見せて、先日これとよく似た事件が起きたと、元同僚に相談された、と説明します。
内容は、魚の鱠を食べて、官僚が一人昏睡状態である、とのことでした。
「調書によると、『鱠に河豚の皮と身を湯引きしたものを、しばしば使っていたようだが、十年前も今回の事件も料理人はその日、河豚を使っていない』と証言した」と高順は言ったのです。
第十八話 鱠
毒にあたった、十年前の被害者と今回の被害者の二人は、美食家で珍味を好み、河豚も良く食べていました。
しかし、前回も今回も鱠の具材に河豚は使っていないと、料理人は証言しました。
高順の話を熱心に聞き、考えを巡らせていた猫猫は、隣に立った壬氏に気付きませんでした。
自分の持つ書をのぞきこんだ壬氏に漸く気付いた猫猫は、顔を強張らせます。
さすがに傷つく、と壬氏は言い猫猫も謝りますが、高順が新しい調書を持ってくると、猫猫の興味はそちらに移ってしまいます。
その猫猫の対応に、壬氏は拗ねてしまいますが、猫猫と高順は話を続けます。
調理書を見ていた猫猫は、「鱠の野菜は何を使っていたのか」と聞くと高順は、確か海藻だった、と答えました。
珍味を好んでいたのなら、アレも好んで食べていたのかもしれない、と猫猫は思い、事件のあった家の厨房を見せてほしい、と高順に言ったのでした。
次の日、猫猫は事件のあった邸に来ていました。
厨房に案内される猫猫でしたが、昏睡状態の主人の弟が乱入したりしましたが、高順の代わりに付き添っていた馬閃の活躍もあり、無事、証拠を手に入れました。
邸を出た後、猫猫は馬閃に手に入れた証拠を見せます。
「それは、先程の海藻?」馬閃が言うと、「この海藻が採れる時期はまだ先で塩漬けにしても今の時期まで保つものでもないので、不思議に思えた、だから交易で入ってきたのかもしれないので、どこから仕入れたか調べられないか」と猫猫は尋ねました。
また次の日、壬氏の部屋で猫猫は謎解きを始めるのでした。
机の上には、先日手に入れた海藻と同じ物が2つ並べられていました。
海藻・オゴノリは本来、毒があるが石灰に漬けることで、無毒化できますが、交易先の南方ではオゴノリを食べる習慣がないのに、北方では食用になると知った商人が持ち込んだ、正しい処理をされていない、危険なオゴノリを誰が交易商に扱うように、提案したのでしょうか。
猫猫は淡々と言い、高順達は、そこから先は自分たちの仕事だ、と言いました。
犯人は倒れた役人の弟でした。
同機は単純で、長男に比べて軽んじられる次男の立場に嫌気がさした、ということでしたが、オゴノリが有毒であるということを、酒場で世間話として聞いたらしいのですが、果たしてそれは偶然だったのでしょうか…
「浩然の死、倉庫の小火と色々な事が立て続けに起きている、、」と考えながら明かりを点ける猫猫は、楽しい事を考えようと、以前壬氏に貰った冬虫夏草のことを考え出しました。
そこに、壬氏が声をかけます。
冬虫夏草のことを考えていた猫猫は、笑顔で振り返りました。
猫猫の満面の笑みを見て、壬氏は言葉も出ませんでした。
軍部の高官で苦手な人がいて、その人が居座ったために、仕事が出来なかった、と壬氏は疲れた顔を見せます。
壬氏の話から嫌な予感がする猫猫ですが、その嫌な予感は当たっているのでした。。
(5巻へ続く)
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薬屋のひとりごと4巻の感想
こちらのネタバレ・感想はサンデー版なのですが、ガンガン版と作品の内容はほぼ同じだと思われます。
前巻までは後宮を舞台にしたミステリーで、今巻からは宮中を舞台にしました。
所々ギャグもあって、ドロドロした家事は全くなくて、読みやすく面白い作品です。
作品を通して、薬や科学の勉強にもなりますよね!
薬や事件など、ちょっと変わったことに興味をもつ猫猫に、惹かれている壬氏が可愛く思えます。
次々と謎を解いていく猫猫ですが、本当にテンポよく解決をしていますが、恋愛に関しては全く興味をしめさないというか、鈍感なのでしょうね(;^_^A
皇帝とのやり取りを描かれている壬氏も、何かを秘めているようです。
そして最後に描かれていた、謎の人物、猫猫の嫌な予感とともに、気になります。
第5巻の発売が待ち遠しいです。 😉